Steamから去っていくゲーム(及びゲーム会社)には様々な理由があり、ゲーム内で使用されている楽曲などのライセンス切れ、販売元の倒産、自社プラットフォーム専売化などがあります。
しかし、今回取り上げる「Journey Of The Light」は上記の例のような理由でSteamから去ったわけではありません。Steamから強制退去させられたゲームの一つなのです。
Steamから去ったゲームは購入ができなくなりますが、すでにライブラリにあるゲームは消えませんし、販売停止前に発行されたキーも有効のままです。
Journey Of The Lightは2015年5月22日にSteamから削除されました。
このゲームは「Steam Direct」の前身である「Steam Greenlight」を通って発売されたゲームです。
Steamにおける黎明期のインディーゲームとまでは行きませんが初期インディーゲームとは言えそうなゲームです。
そして本題ですが、数週間経っても誰もチャプター1をクリアできないという事態が起きます。
発売当時のこのゲームの知名度はわかりませんが、Steam内コミュニティでは流石に異常だと思われ、調査する人も登場します。
実績情報による疑惑
まず始めにSteamの実績情報を調べられる外部サイトである「AStats」でこのゲームの取得状況が調べられました。(AStatsは私が以下の記事で取り上げた事があるサイトです)
すると、驚愕という形容詞を使ってもオーバーリアクションじゃない事実が判明します。
この記事執筆時でも閲覧可能な状態で画像がimgurに残っていました。
上記の画像では当時プロフィールを公開していた全Steamユーザーの中でチャプター1~3までをクリアしていた人がそれぞれ一人しか居なかったことがわかります。
そして現在ではアカウントが存在していませんが当時、開発者は自身のアカウントのプロフィールを公開していました。
更に、上記の画像から少なくとも全7チャプター構成である事もわかります。(ちなみに全8チャプターであると当時は宣伝していたようです)
この事実からこのゲームは未完成なのではないかという疑惑が湧き上がります。
解析
次にとあるSteamerはゲームそのものの解析を始めます。
技術的な話を端折って結論を述べると、チャプター1以外存在しない。
そしてチャプター1の次はチャプター1になるようなコードが仕組まれていたとのことです。
そもそもチャプター1をクリアできる人が居なかったと言っても過言ではないので、チャプター1の後にチャプター1が続くのは万が一の保険だったのでしょうか。
ただ、重要なのはチャプター1以外のチャプターが存在するような気配が一切見つからなかったということです。
これが契機となったのかValueがまさかの全額返金対応&ストアから同ゲームの削除を行いました。
開発者の疑惑
開発者はチャプター2のヒントを公開したり、同ゲームのSteamトレーディングカードがヒントになると発信していた。
Steamトレーディングカードは2時間プレイしないとドロップしない、そしてSteamで返金可能なのは通常だとプレイ時間が2時間以内。
バグフィックスによるアップデートが原因だと開発者は弁明したみたいですが、結局ストアからはValueの手によって削除されました。
この時点であれば開発者のことを心の底から悪人だとは思わない人も多いかと思いますが、後の行動を知ると「Journey Of The Light」も詐欺目的で販売したんだなと確信する人も増えるかもしれません。
当時、このゲームの開発者が名乗っていた名前は「Lord Kres」
事件後はTwitterとSteamのアカウントを削除したものの、Twitterは自身に成りすました者の注意喚起をツイートする為だけに復活させた模様です。
他のツイートは削除されていますが、そこまで怪しい行動でもありません。有名人なら再炎上しそうですが。
そして、5年後。新たに動きがありました。
実は彼は「Journey Of The Light」以外にも「Voxelized」という名前のマイクラ系ゲームを開発していました。
2016/08/16にストアからリンクが削除されたらしい「Voxelized」のホームページ
事件後はそのゲームの開発も放置していたようですが、ストアから削除されるような事は無かったようです。
しかし、2020/08/14に開発者名が「Lord Kres」から「2127 Games」へ変更されます。
更に同月25日「Voxelized」の名前が「Qubburo 2」に変更されました。
あからさまなネームロンダリングです。ゲームの名前に2が付くのは同年6月に発売した「Qubburo」を意識したものでしょう。こちらは最初から「2127 Games」という名義で発売しています。
まあどちらのゲームも「Voxelized」の名前が「Qubburo 2」が変わった日にストアから削除されていますが。
恐らくはゲームだけではなく開発者自体もBANされたのでしょう。
もう戻ってきて欲しくはないですね。
ちゃんと完成したゲームを開発したなら別ですが。
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